ペインクリニックの真実

2025年11月
  • 無呼吸症候群の症状を放置する危険性

    医療

    「いびきがうるさいと家族に言われるけれど、自分は眠れているから大丈夫」「日中少し眠いだけだから、気合で乗り切ればいい」。睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状がありながら、多くの人が、その治療に踏み出せないでいます。しかし、その「放置」という選択が、あなたの体を静かに、しかし確実に蝕み、やがては命に関わる深刻な病気の引き金になるという、恐ろしい事実を、あなたはご存知でしょうか。無呼吸症候群は、単に睡眠の質を低下させるだけの病気ではありません。それは、高血圧や糖尿病、心疾患、脳卒中といった、様々な生活習慣病を合併する、全身の病気なのです。無呼吸症候群を放置する最大のリスクは、夜間に繰り返される「低酸素状態」と、それに伴う「交感神経の過剰な興奮」にあります。呼吸が止まり、体内の酸素濃度が低下するたびに、体は生命の危機と判断し、心拍数を上げ、血圧を上昇させて、全身に少しでも多くの酸素を送ろうとします。これが、一晩に何十回、何百回と繰り返されることで、睡眠中であるにもかかわらず、心臓や血管は、まるで激しい運動をしているかのような、極度のストレスに常に晒され続けるのです。その結果、慢性的な「高血圧」を発症するリスクは、健康な人の約二倍にもなると言われています。また、この交感神経の過剰な興奮は、血糖値をコントロールするインスリンの働きを悪化させるため、「糖尿病」の発症や悪化にも深く関与しています。心臓への直接的な負担も深刻です。常に過重労働を強いられる心臓は、やがて不整脈(心房細動など)や、心不全、そして狭心症や心筋梗塞といった、虚血性心疾患を引き起こすリスクが、健康な人の三倍から四倍にも跳ね上がります。さらに、脳への影響も無視できません。慢性的な酸素不足と高血圧は、脳の血管にダメージを与え、将来的な「脳梗塞」や「脳出血」のリスクを著しく高めるのです。日中の眠気による、交通事故や労働災害のリスクも、統計的に証明されています。睡眠時無呼吸症候群の症状を放置することは、あなたの体の時限爆弾のタイマーを、自らの手で早めているのと同じことなのです。それは、数年後、数十年後のあなたの未来を、そして家族の幸せを、根底から覆しかねない、極めて危険な選択なのです。