顎関節症は、大人だけの病気だと思われがちですが、実は子供でも発症することがあります。子供が「顎が痛い」「口が開けにくい」「顎がカクカク鳴る」といった症状を訴えたり、食事の際に顎を気にしたりする様子が見られたら、顎関節症の可能性も考えてみる必要があります。では、子供が顎関節症の疑いがある場合、何科に連れて行けば良いのでしょうか。基本的には、大人と同様に、歯科または口腔外科が専門となります。小児歯科でも、顎関節症の初期対応や相談に応じてくれるところはありますが、より専門的な診断や治療が必要と判断された場合は、口腔外科や顎関節症の専門外来を紹介されることが多いでしょう。子供の顎関節症の原因としては、大人と同様に、歯ぎしりや食いしばり、片側だけで噛む癖、頬杖をつくといった生活習慣、あるいは精神的なストレスなどが考えられます。また、成長期における顎の骨格や噛み合わせの変化も影響することがあります。スポーツや吹奏楽などで顎に負担がかかることも、発症のきっかけとなることがあります。歯科や口腔外科では、まず問診で症状や生活習慣などを詳しく聞き取り、顎の動きや噛み合わせの状態を診察します。必要に応じて、レントゲン検査などの画像検査も行われます。子供の顎関節症の治療は、多くの場合、保存療法が中心となります。顎関節への負担を減らすための生活習慣指導(硬いものを避ける、大きく口を開けすぎないようにするなど)や、マウスピース(スプリント)の作製、顎の筋肉をリラックスさせるためのマッサージやストレッチの指導などが行われます。薬物療法は、子供の場合は慎重に行われます。子供の顎関節症は、成長とともに自然に改善することも少なくありませんが、放置しておくと症状が悪化したり、顎の成長に影響が出たりする可能性も否定できません。気になる症状があれば、早めに専門医に相談し、適切なアドバイスと治療を受けることが大切です。