「風が吹いても痛い」と表現されるほどの激しい痛みを伴う痛風発作。この耐え難い痛みの正体は、一体何なのでしょうか。痛風は、血液中の「尿酸」という物質の濃度が高くなり(高尿酸血症)、それが関節の中で結晶化して炎症を引き起こす病気です。尿酸は、私たちの体内でプリン体という物質が分解される際に生成される老廃物の一種です。プリン体は、食事から摂取されるものと、体内で新陳代謝の結果として作られるものがあります。通常、尿酸は腎臓から尿として体外へ排出され、血液中の尿酸値は一定の範囲に保たれています。しかし、何らかの原因で、**尿酸が過剰に作られすぎたり(尿酸産生過剰型)、あるいは腎臓からの尿酸の排出がうまくいかなくなったり(尿酸排泄低下型)、あるいはその両方が組み合わさったり(混合型)**すると、血液中の尿酸値が上昇し、高尿酸血症の状態となります。血液中の尿酸濃度が飽和状態を超えると、尿酸は溶けきれなくなり、針状の「尿酸塩結晶」として関節や組織に沈着し始めます。この尿酸塩結晶が、何らかのきっかけ(急激な運動、脱水、ストレス、アルコールの過剰摂取など)で関節内に剥がれ落ちると、白血球がそれを異物と認識して攻撃を始め、激しい炎症反応が起こります。これが、痛風発作による激痛のメカニズムです。痛風発作は、足の親指の付け根に起こることが最も多いですが、足首、膝、手首、肘など、他の関節にも起こる可能性があります。発作は、通常数日から2週間程度で自然に治まりますが、適切な治療や生活習慣の改善を行わないと、繰り返し発作を起こしたり、慢性化したりするリスクがあります。