糖尿病境界型と診断されたら、それは生活習慣を見直す絶好の機会です。「治る」という言葉は医学的には慎重に使われますが、この段階であれば、適切な生活習慣の改善によって血糖値を正常範囲に戻し、糖尿病への進行を阻止することは十分に可能です。そのための具体的なポイントを見ていきましょう。まず、禁煙は非常に重要です。喫煙は、インスリンの働きを悪くする(インスリン抵抗性を高める)だけでなく、血管を傷つけ、糖尿病の合併症である動脈硬化を進行させる大きなリスク因子です。禁煙することで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。次に、アルコールの摂取は適量を守ることです。過度な飲酒は、血糖コントロールを乱したり、肥満の原因になったりします。飲む場合は、適量(例えば、1日の純アルコール量で20g程度まで)を守り、休肝日を設けるようにしましょう。十分な睡眠をとることも大切です。睡眠不足は、ホルモンバランスを乱し、インスリン抵抗性を高める可能性があります。毎日同じ時間に寝起きし、質の高い睡眠を7~8時間程度確保するように心がけましょう。ストレスを上手に管理することも、自律神経のバランスを整え、血糖コントロールを安定させる上で重要です。趣味の時間を持つ、リラックスできる環境を作る、適度な運動をするなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。そして、定期的な健康診断や血糖値のチェックを怠らないことです。糖尿病境界型は自覚症状がないことが多いため、定期的に自分の体の状態を把握し、生活習慣改善の効果を確認することが、モチベーション維持にもつながります。これらの生活習慣の見直しは、一つ一つは小さなことかもしれませんが、継続することで大きな効果が期待できます。医師や管理栄養士などの専門家のアドバイスを受けながら、無理なく、そして楽しみながら取り組んでいくことが、糖尿病境界型を「治る」状態へと導くための鍵となるでしょう。