「最近、なんだか些細なことでイライラする」「以前は気にならなかったことに腹が立つ」…もしあなたが40代後半から50代以降の男性で、このような感情の変化に心当たりがあるなら、それは「男性更年期障害（LOH症候群：ローしょうこうぐん、または加齢性腺機能低下症）」のサインかもしれません。女性の更年期障害はよく知られていますが、実は男性にも同様に、加齢に伴うホルモンバランスの変化によって心身に様々な不調が現れることがあるのです。男性更年期障害の主な原因は、男性ホルモンである「テストステロン」の減少です。テストステロンは、筋肉や骨の形成、性機能の維持、そして意欲や気力といった精神面にも深く関わっています。このテストステロンの分泌量は、20代をピークに年齢とともに徐々に減少していきますが、その減少の度合いや時期には個人差があります。テストステロンが一定のレベル以下にまで低下すると、身体的な症状（疲労感、筋力低下、ほてり、性機能障害など）に加えて、精神的な症状として、イライラ、不安感、抑うつ気分、集中力の低下、不眠などが現れやすくなるのです。特に「イライラ」という感情は、男性更年期障害の代表的な精神症状の一つとして挙げられます。以前は穏やかだった人が、急に怒りっぽくなったり、短気になったり、あるいは理由もなく焦燥感に駆られたりすることがあります。これは、テストステロンの減少が、脳内の神経伝達物質のバランスにも影響を与え、感情のコントロールが難しくなるためと考えられています。また、身体的な不調や、将来への不安感なども、イライラを助長する要因となり得ます。男性更年期障害は、単なる「年のせい」と片付けられがちですが、適切な治療やケアによって症状を改善できる可能性があります。思い当たる症状があれば、専門医に相談してみることが大切です。