痛風発作の直接的な原因は高尿酸血症ですが、尿酸値が高い状態が続いていても、必ずしもすぐに発作が起こるわけではありません。痛風発作は、何らかの「きっかけ」によって誘発されることが多いと言われています。そのきっかけの一つとして、精神的なストレスや肉体的なストレス(激しい運動など)が挙げられます。まず、精神的なストレスについてです。強いストレスを感じると、私たちの体は様々な反応を示します。自律神経のバランスが乱れたり、ホルモンバランスが変化したりすることがあります。これらの変化が、尿酸の産生を一時的に増加させたり、腎臓からの尿酸の排泄を悪化させたりして、血中尿酸値を急激に変動させる可能性があります。この急激な尿酸値の変動が、関節内に沈着していた尿酸塩結晶を不安定にし、剥がれ落ちやすくすることで、痛風発作を引き起こすと考えられています。また、ストレスによって暴飲暴食に走ったり、アルコールの量が増えたりすることも、間接的に痛風発作のリスクを高める要因となり得ます。次に、肉体的なストレス、特に激しい運動についてです。適度な運動は健康に良いですが、急に激しい運動を行ったり、長時間の過度な運動を行ったりすると、体内で細胞の破壊が進み、プリン体の産生が増加します。また、大量の汗をかくことで脱水状態になると、血液が濃縮されて尿酸値が一時的に上昇しやすくなります。さらに、激しい運動は、関節に微細な損傷を与え、それが引き金となって尿酸塩結晶が剥がれ落ち、痛風発作を誘発することもあります。特に、無酸素運動(筋力トレーニングなど)は、乳酸の産生を促し、それが腎臓での尿酸排泄を妨げるため、注意が必要です。痛風の既往がある方や、尿酸値が高い方は、運動の種類や強度、時間などを医師と相談し、無理のない範囲で行うことが大切です。また、運動中や運動後は、十分な水分補給を心がけましょう。