「いちご舌」という言葉を聞いたことがありますか?まるでイチゴの表面のように、舌に赤いブツブツが現れる状態を指す言葉です。主に子供の病気で見られる症状として知られていますが、実は大人でもいちご舌になることがあります。大人がいちご舌になった場合、その背景には何らかの病気や体調不良が隠れている可能性があるため、注意が必要です。いちご舌の見た目の特徴は、まず舌の表面が赤く、ザラザラとした細かい隆起(舌乳頭:ぜつにゅうとう)が目立つようになることです。この隆起した舌乳頭が、まるでイチゴの種のように見えることから、この名前が付けられました。初期には、舌全体が白っぽい苔(舌苔:ぜったい)で覆われ、その中から赤いブツブツが透けて見えることもあります。その後、舌苔が剥がれてくると、舌全体が真っ赤になり、イチゴのような外観がより鮮明になります。大人がいちご舌になる主な原因として最も代表的なのは、溶連菌感染症です。溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌に感染することで起こる病気で、発熱や喉の痛みとともに、いちご舌が現れることがあります。特に、猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ばれる病型では、全身の発疹とともに、いちご舌が特徴的な症状の一つとして知られています。また、川崎病も、いちご舌を引き起こす可能性のある病気の一つですが、これは主に乳幼児に発症する病気であり、大人がかかることは稀です。その他、稀なケースではありますが、ビタミンB群の欠乏や、特定の薬剤の副作用、あるいは強いストレスや免疫力の低下などが、舌の炎症を引き起こし、結果的にいちご舌のような状態になることも考えられます。いちご舌は、単なる舌の異常ではなく、何らかの体の不調のサインである可能性があります。見た目の変化に気づいたら、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。