糖尿病境界型と診断された方が、血糖値をコントロールし、本格的な糖尿病への進行を防ぐ(「治る」に近い状態を目指す)ためには、食事療法と並んで運動療法が非常に効果的です。運動は、インスリンの働きを良くしたり(インスリン抵抗性の改善)、ブドウ糖の消費を促したりすることで、血糖値を下げる効果が期待できます。では、どのような運動を、どのくらい行えば良いのでしょうか。推奨される運動は、主に有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)です。有酸素運動は、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、比較的軽度から中等度の負荷を継続して行う運動です。これらの運動は、脂肪燃焼を促進し、インスリン抵抗性を改善する効果があります。目標としては、1回20~60分程度、週に3~5回以上行うのが理想的です。まずは、無理のない範囲で、日常生活にウォーキングを取り入れることから始めてみましょう。例えば、一駅手前で降りて歩く、エレベーターではなく階段を使うといった工夫も効果があります。レジスタンス運動は、筋肉に負荷をかけるトレーニングで、スクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操などがあります。筋肉量が増加すると、基礎代謝が上がり、ブドウ糖が消費されやすくなるため、血糖コントロールに役立ちます。こちらは、週に2~3回程度、主要な筋肉群を鍛える運動を、各種目10~15回を1~3セット行うのが目安です。運動を行う際の注意点としては、まず食後1時間後くらいに行うのが、血糖値の急上昇を抑える上で効果的とされています。また、空腹時や体調が悪い時は無理をしないこと。低血糖や怪我のリスクを避けるためです。運動前後のストレッチも忘れずに行いましょう。そして何よりも、継続することが大切です。自分にとって楽しく、続けやすい運動を見つけ、生活習慣の一部として取り入れていくことが、糖尿病境界型を改善し、「治る」状態を目指すための重要なステップとなります。運動を始める前には、医師に相談し、自分に合った運動の種類や強度についてアドバイスを受けるようにしましょう。