大人がRSウイルスに感染した場合、多くは風邪のような軽い症状で済むと言われていますが、中には「ひどい」と感じるほどつらい症状が現れることがあります。では、具体的にどのような症状が「ひどい」とされ、通常の風邪とはどのような違いがあるのでしょうか。まず、咳の症状が特徴的です。通常の風邪の咳よりも、RSウイルスによる咳はしつこく長引く傾向があります。乾いた咳から始まり、次第に痰が絡む湿った咳に変わっていくこともあります。夜間や早朝に咳が悪化し、睡眠を妨げられることも少なくありません。喘息の持病がある方は、RSウイルス感染をきっかけに喘息発作が誘発されたり、症状が悪化したりすることがあります。次に、発熱です。風邪の場合、高熱が出ることは比較的少ないですが、大人のRSウイルス感染症では、38℃以上の高熱が数日間続くことがあります。高熱に伴い、強い倦怠感や頭痛、筋肉痛といった全身症状も強く現れる傾向があります。また、呼吸器症状の悪化も懸念されます。特に高齢者や基礎疾患を持つ方は、RSウイルス感染が引き金となって、気管支炎や肺炎に進行し、呼吸困難や息切れといった症状が現れることがあります。胸の痛みや圧迫感を伴うこともあります。通常の風邪であれば、これらの呼吸器症状が重症化することは比較的稀です。さらに、鼻水や喉の痛みといった上気道炎の症状も、風邪と同様に見られますが、RSウイルスの場合、これらの症状も比較的強く、長引くことがあります。このように、大人のRSウイルス感染症は、風邪と症状が似ている部分もありますが、咳のしつこさ、高熱の持続、呼吸器症状の悪化といった点で、より「ひどい」と感じられることが多いのです。もし、風邪だと思っていた症状がなかなか改善しない、あるいは悪化していくようであれば、RSウイルス感染症の可能性も考慮し、医療機関を受診することをお勧めします。