大人がRSウイルスに感染した場合、特につらい症状の一つが、しつこく長引く咳です。夜も眠れないほどの激しい咳に見舞われることもあり、日常生活にも大きな支障をきたします。このひどい咳に対して、どのように対処すれば良いのでしょうか。まず、基本的なことですが、安静にして十分な休息をとることが大切です。体力を消耗すると、咳の症状も悪化しやすくなります。無理をせず、できるだけ体を休ませましょう。次に、室内の加湿を心がけましょう。空気が乾燥していると、気道の粘膜も乾燥し、咳が出やすくなります。加湿器を使用したり、濡れタオルを部屋に干したりして、適切な湿度(50~60%程度)を保つようにしましょう。こまめな水分補給も重要です。喉の乾燥を防ぎ、痰を排出しやすくする効果があります。白湯や麦茶、経口補水液など、刺激の少ない飲み物を少量ずつ頻繁に摂取しましょう。ハチミツも、咳を和らげる効果があると言われています(ただし、1歳未満の乳児には与えないでください)。また、咳を誘発する刺激を避けることも大切です。タバコの煙やホコリ、冷たい空気、香水や芳香剤の強い香りなどは、気道を刺激し、咳を悪化させる可能性があります。喫煙は絶対に避け、受動喫煙にも注意しましょう。外出時にはマスクを着用し、冷たい外気や乾燥した空気から喉を守るのも効果的です。咳止め薬や去痰薬の使用については、医師や薬剤師に相談しましょう。市販薬で対処する場合も、自分の症状に合ったものを選び、用法・用量を守って使用することが大切です。ただし、咳は異物を排出しようとする体の防御反応でもあるため、無理に咳を止めようとすることが必ずしも良いとは限りません。症状がひどい場合や、呼吸が苦しい、高熱が続くといった場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。