健康診断などで「糖尿病境界型ですね」と指摘されたものの、具体的にどのような状態なのか、そして「治る」ものなのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。糖尿病境界型とは、血糖値が正常な範囲よりは高いものの、まだ糖尿病と診断されるほど高くはない、いわば「糖尿病予備群」とも言える状態です。この段階であれば、適切な対策を講じることで、糖尿病への進行を防いだり、さらには正常な状態に戻したりする、つまり「治る」という表現に近い状態を目指すことが十分に可能です。糖尿病境界型は、空腹時血糖値が110~125mg/dL、または75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の2時間値が140~199mg/dLの範囲にある場合を指します(日本糖尿病学会の基準)。この状態は、インスリンの分泌量が減少し始めたり、インスリンの効きが悪くなったりする「インスリン抵抗性」が現れ始めているサインです。放置しておくと、高い確率で本格的な糖尿病へと移行し、様々な合併症(神経障害、網膜症、腎症など)のリスクを高めてしまいます。しかし、この境界型の段階で生活習慣を見直し、血糖コントロールを意識することで、糖尿病の発症を遅らせたり、防いだりすることができます。具体的には、食事療法、運動療法、そして必要に応じて薬物療法が行われます。特に、食事と運動は非常に重要な役割を果たします。適切なカロリー摂取、バランスの取れた食事、そして定期的な運動を継続することで、インスリンの働きを改善し、血糖値を正常範囲に近づけることが期待できます。糖尿病境界型と診断されたことは、決して悲観することではありません。むしろ、本格的な糖尿病になる前に、自分の体と向き合い、健康的な生活習慣を身につける良い機会と捉え、積極的に改善に取り組むことが大切です。
糖尿病境界型とは?「治る」可能性はあるの?