糖尿病境界型と診断された場合、本格的な糖尿病への進行を防ぎ、さらには血糖値を正常範囲に戻す（「治る」に近い状態にする）ために、食事療法は非常に重要な役割を果たします。「何を食べれば良いのか」「何を控えれば良いのか」と難しく感じるかもしれませんが、いくつかの基本的なポイントを押さえることで、無理なく続けることができます。まず、適切なエネルギー摂取量を守ることです。過食は血糖値の上昇や肥満の原因となり、インスリンの働きを悪くします。医師や管理栄養士と相談し、自分の年齢や活動量に見合った1日の摂取カロリーの目安を把握し、それを超えないように心がけましょう。次に、栄養バランスの取れた食事を意識することです。主食（ごはん、パン、麺類など）、主菜（肉、魚、卵、大豆製品など）、副菜（野菜、きのこ類、海藻類など）をバランス良く組み合わせることが大切です。特に、食物繊維を多く含む野菜やきのこ類、海藻類は、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果があるため、積極的に摂取しましょう。食事の最初に野菜から食べる「ベジファースト」も効果的です。また、糖質の摂りすぎに注意することも重要です。甘いお菓子やジュース、果物の過剰摂取は避けましょう。主食も、玄米や雑穀米、全粒粉パンなど、血糖値の上昇が緩やかなGI値の低いものを選ぶのがおすすめです。脂質の質と量にも配慮が必要です。飽和脂肪酸（肉の脂身、バターなど）やトランス脂肪酸（マーガリン、ショートニングなど）の摂りすぎは、インスリン抵抗性を高める可能性があります。魚に含まれるEPAやDHA、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を適度に摂取するようにしましょう。そして、ゆっくりよく噛んで食べることも大切です。早食いは血糖値の急上昇を招きます。一口30回程度を目安に、時間をかけて食事を楽しみましょう。これらのポイントを日々の食事に取り入れ、継続していくことが、糖尿病境界型を改善し、「治る」状態を目指すための鍵となります。