妊娠中に感染すると胎児に影響が出る可能性のある感染症として、風疹はよく知られています。では、アデノウイルスと風疹は、妊婦さんにとってどのような違いがあるのでしょうか。まず、胎児への影響の度合いが大きく異なります。風疹ウイルスは、妊娠初期(特に妊娠20週頃まで)に妊婦さんが感染すると、胎児に感染し、先天性風疹症候群(CRS)という、心臓の奇形、難聴、白内障などの重篤な障害を引き起こす可能性があります。そのため、妊娠を希望する女性や、そのパートナーは、事前に風疹の抗体価を検査し、抗体が不十分な場合はワクチンを接種することが強く推奨されています。一方、アデノウイルスは、前述の通り、現時点では胎児に直接的な奇形を引き起こしたり、重篤な先天性障害の原因となったりするという明確な報告は一般的ではありません。 したがって、胎児への直接的なリスクという点では、風疹の方がはるかに深刻であると言えます。次に、主な症状も異なります。アデノウイルス感染症は、高熱、強い喉の痛み、目の充血(咽頭結膜熱や流行性角結膜炎)などが特徴的です。一方、風疹は、発熱、発疹(全身に広がる淡い赤い発疹)、リンパ節の腫れ(特に耳の後ろや首)が三主徴とされています。ただし、症状の現れ方には個人差があり、風疹でも症状が軽微であったり、気づかないうちに感染していたりすることもあります(不顕性感染)。予防法についても違いがあります。風疹は、ワクチン接種によって効果的に予防することができます。一方、アデノウイルスには非常に多くの型があり、全ての型に対応するワクチンは現在のところ実用化されていません。そのため、アデノウイルスの予防は、手洗いやうがい、マスクの着用といった一般的な感染予防策が中心となります。このように、アデノウイルスと風疹は、どちらもウイルス感染症ですが、胎児への影響の深刻度や主な症状、予防法において大きな違いがあります。妊娠中は、様々な感染症に注意が必要ですが、特に風疹の予防は非常に重要です。