膝を強く打ち付けた直後はそれほどでもなくても、時間が経つにつれて膝を曲げると痛いという症状が現れることは珍しくありません。このような痛みが生じる主な理由は、打撲によって膝の周辺組織に炎症が起き、関節内の圧力が高まっているためです。膝関節は、大腿骨と脛骨、そして膝蓋骨いわゆるお皿の骨が複雑に組み合わさって構成されており、その周囲を靭帯や筋肉、関節包といった組織が支えています。強打によってこれらの組織にダメージが加わると、毛細血管が破れて内出血が起こり、組織液が患部に停滞して腫れが生じます。膝を曲げる動作は、関節内のスペースを物理的に狭めるため、腫れによって内圧が上がった状態では神経が強く圧迫され、鋭い痛みを感じるようになるのです。まず行うべきはRICE処置と呼ばれる応急対応です。安静を保ち、氷嚢や保冷剤をタオルで包んで患部を15分から20分程度冷やしてください。冷却は血管を収縮させ、炎症の広がりと内出血を最小限に抑える効果があります。受傷から24時間から48時間は、数時間おきにこの冷却を繰り返すことが推奨されます。また、膝を軽く圧迫して固定し、横になるときはクッションなどを用いて膝を心臓より高い位置に保つ挙上も重要です。これにより、重力の助けを借りて腫れを効率的に引かせることができます。膝を曲げると痛いというサインは、体が無理な動作を控えるよう求めている警告です。自己判断で揉んだり、無理にストレッチをしたりすると、逆に症状を悪化させる恐れがあります。特に、膝の皿の下にある脂肪体や、動きを滑らかにするための滑液包が炎症を起こしている場合、回復には一定の時間を要します。痛みが引くまでは激しい運動を避け、階段の昇降など膝に負担がかかる動作は慎重に行う必要があります。もし数日経っても腫れが引かない、あるいは膝に力が入らない、歩行中にガクッと膝が折れるといった症状がある場合は、単なる打撲ではなく靭帯損傷や半月板のダメージ、骨挫傷などの可能性も考えられます。その際は速やかに整形外科を受診し、レントゲンやMRIによる精密な検査を受けてください。適切な初期対応が、その後の回復スピードを左右し、将来的な後遺症を防ぐ鍵となります。
膝を打撲して曲げると痛い時の応急処置