妊婦さんがアデノウイルスに感染した場合、ご自身の体調管理もさることながら、家族、特に小さなお子さんや高齢者、免疫力の低下している方への感染を防ぐための対策も非常に重要となります。アデノウイルスは感染力が強く、様々な経路で感染が広がるため、徹底した予防策を講じましょう。まず、最も基本的なのは手洗いの徹底です。妊婦さん自身も、そして家族全員が、石鹸と流水でこまめに、そして丁寧に手を洗う習慣をつけましょう。特に、トイレの後、食事の前、咳やくしゃみを手で押さえた後などは必須です。アルコール手指消毒剤も補助的に有効ですが、エンベロープを持たないアデノウイルスに対しては、次亜塩素酸ナトリウムの方がより効果的とされています(ただし、手指への直接使用は避けてください)。次に、咳エチケットの実践です。妊婦さんが咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチ、あるいは袖などで口や鼻を覆い、周囲への飛沫の拡散を防ぎましょう。可能であれば、家庭内でもマスクを着用するのが望ましいです。タオルの共用を避けることも重要です。洗面所や浴室で使用するタオルは、個人ごとに分け、こまめに洗濯するようにしましょう。食器やカトラリーの共用も、念のため避けた方が賢明です。また、妊婦さんが触れたドアノブ、手すり、電気のスイッチ、リモコンなど、よく手が触れる場所は、こまめに消毒しましょう。消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)や、アルコール(濃度70%以上が望ましい)などが有効です。換気を十分に行うことも、空気中に浮遊するウイルス濃度を下げるのに役立ちます。1~2時間ごとに窓を開けて、室内の空気を入れ替えましょう。そして、可能であれば、妊婦さんと他の家族の生活空間を一時的に分けることも検討しましょう。特に、寝室を別にしたり、食事の時間をずらしたりといった工夫が有効です。これらの感染予防策を家族全員で徹底することで、家庭内での感染リスクを最小限に抑えることができます。
アデノウイルス妊婦から家族への感染予防策