「ケアミックス病院」と「急性期病院」。この二つの病院は、どちらも入院治療を行うという点では共通していますが、その役割と目的、そして患者さんに提供する医療の内容は、全く異なります。その決定的な違いを理解することは、いざという時に、自分や家族にとって最適な病院を選ぶための、重要な知識となります。まず、その「役割」が根本的に違います。大学病院や、地域の基幹病院に代表される「急性期病院」の最大の使命は、「救命」です。交通事故による大怪我や、心筋梗塞、脳卒中といった、一刻を争う重篤な患者さんに対して、手術や高度な医療機器を駆使して、集中的な治療を行い、命の危機を脱するまでの期間を担います。まさに、医療の最前線で、命を救うことに特化した、短期決戦型の病院です。一方、「ケアミックス病院」が担う役割は、より長期的で、多岐にわたります。急性期病院から治療を引き継ぎ、安定した病状の中で、リハビリテーションを行って在宅復帰を目指す「回復期」の支援。あるいは、長期的な療養が必要な患者さんに対して、穏やかな療養環境を提供する「慢性期」のケア。そして、人生の最期を穏やかに迎えるための「終末期」の看取りまで。「治し、支え、そして看取る」という、人の一生に寄り添う、幅広い役割を担っているのです。この役割の違いは、「入院期間」にも明確に現れます。急性期病院の入院期間は、数日から長くても数週間と、非常に短期間です。しかし、ケアミックス病院の入院期間は、患者さんの状態や目的によって、数ヶ月から、時には年単位に及ぶこともあります。また、提供されるケアの視点も異なります。急性期病院が、病気の治療という「医療」を中心に据えているのに対し、ケアミックス病院は、治療後の生活を見据えた、食事や排泄、移動といった、日常生活動作(ADL)の維持・向上という、「生活」に重きを置いたケアを提供します。どちらが良い、悪いという話ではなく、それぞれの病院が、異なるステージで、それぞれの重要な役割を果たしているのです。