トイレに行く回数が1日に10回以上と多く、さらに排尿時に痛みを感じたり、残尿感があったり、尿が濁っていたりする場合は、「膀胱炎」の可能性があります。膀胱炎は、特に女性に多く見られる病気で、膀胱に細菌が侵入し、炎症を起こすことで様々な不快な症状が現れます。膀胱炎の主な原因菌は、大腸菌などの腸内細菌です。女性は、男性に比べて尿道が短く、肛門と尿道口が近いため、細菌が膀胱に侵入しやすい構造になっています。そのため、疲労やストレス、冷えなどで免疫力が低下した時や、トイレを我慢しすぎた時、性行為の後などに膀胱炎を発症しやすくなります。膀胱炎の代表的な症状としては、まず頻尿です。膀胱が炎症によって刺激されるため、少量の尿でも強い尿意を感じ、何度もトイレに行きたくなります。次に、排尿時痛です。排尿の終わり際に、尿道や下腹部にツーンとしたり、焼けるような痛みを感じることが多いです。また、残尿感(排尿後もまだ尿が残っている感じ)や、尿の混濁(尿が白っぽく濁る)、血尿(尿に血が混じる)といった症状が見られることもあります。症状が進行すると、下腹部痛や腰痛、微熱などを伴うこともあります。膀胱炎は、適切な治療を受ければ比較的早く治る病気ですが、放置しておくと症状が悪化したり、細菌が腎臓にまで感染を広げて「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という重篤な合併症を引き起こしたりする可能性があります。腎盂腎炎になると、高熱や悪寒、強い腰痛、吐き気といった症状が現れ、入院治療が必要になることもあります。もし、頻尿に加えて、排尿時痛や残尿感、尿の濁りといった膀胱炎を疑わせる症状がある場合は、自己判断せずに、早めに泌尿器科または内科、婦人科を受診し、尿検査を受けて適切な抗菌薬治療を開始することが大切です。