家族が40度近い熱を出し、さらに「皮膚が痛くてたまらない」と訴えているとき、看病する側ができることは限られていますが、その一つ一つが本人の苦痛を大きく左右します。まず心得ておくべきは、本人の訴えを絶対に否定しないことです。目に見える怪我や発疹がないため、つい「気のせいだよ」「そんなに痛いはずがない」と言ってしまいがちですが、本人にとっては衣服が触れるだけで電流が走るような、耐え難い実害のある痛みです。この主観的な苦痛を理解し、共感の姿勢を示すことが、本人の精神的な安定に繋がります。具体的なケアとしては、まず体に触れるときは、必ず声をかけてからにしてください。不意に触れられることは、過敏になった神経にとって最大のストレスです。「今から少し布団を直すね」「体温計を挟むよ」と事前に伝えることで、本人が心の準備を整え、身構えることができます。また、触れる際も、指先でつまむような刺激は避け、手のひら全体で優しく包み込むように、面で接することを意識してください。点ではなく面で触れる方が、脳が痛みとして捉えにくいことがわかっています。着替えを介助する際は、可能であればボタンのない、頭から被るタイプの緩い服を選びましょう。袖を通すときの摩擦を減らすため、服の袖を大きく広げて、腕を通すのを手伝ってください。また、汗をかいて衣服が湿ると、布地が肌に張り付いて不快感と痛みが増します。こまめに、かつ素早く着替えをサポートすることが重要ですが、その際も「痛いよね、ゆっくりやろう」と声をかけ続けてください。部屋の照明についても、高熱時は視覚的な刺激も痛みとして感じることがあるため、カーテンを閉め、間接照明のみにするなど、薄暗い環境を作ってあげましょう。食事や飲み物を運ぶ際も、食器がカチャカチャと鳴る音さえも不快に感じることがあるため、静かに行動することを心がけてください。もし本人が「今は一人にしてほしい、触らないでほしい」と言うのであれば、その言葉を尊重し、少し離れた場所で見守ることも大切な看病です。熱による皮膚の痛みは、本人の体力が限界に近いことを示しています。看病する側も落ち着いて、穏やかな空気を作ることで、家庭という癒しの空間が、過敏になった本人の神経を優位に鎮めてくれるはずです。
高熱で皮膚が痛い家族を看病する際の注意点