アデノウイルスは、非常に多くの型が存在し、感染する型によって様々な症状を引き起こします。妊婦さんがアデノウイルスに感染した場合も、基本的には子どもや一般の成人と同様の症状が現れますが、妊娠中であるという特殊な状況から、いくつかの注意点があります。アデノウイルス感染症の代表的な症状としては、まず発熱です。38~40℃程度の高熱が数日間続くことがあります。次に、**喉の痛み(咽頭炎)**です。強い痛みで、食べ物や飲み物を飲み込むのがつらくなることもあります。扁桃腺が腫れたり、白い膿が付着したりすることもあります。また、目の症状(流行性角結膜炎、咽頭結膜熱)も特徴的です。目の充血、目やに、涙目、まぶしさ、目の痛みなどが現れます。片方の目から始まり、もう片方の目にもうつることがあります。これらの主な症状に加えて、咳、鼻水、頭痛、全身倦怠感、リンパ節の腫れ、腹痛、下痢といった、風邪に似た症状を伴うこともあります。妊婦さんがアデノウイルスに感染した場合の注意点としては、まず高熱が続くことによる胎児への影響が懸念されます。妊娠初期の高熱は、胎児の器官形成に影響を与える可能性も指摘されているため、できるだけ早く解熱することが望ましいです。また、脱水症状にも注意が必要です。高熱や喉の痛みで食事が十分に摂れず、水分補給も困難になると、脱水状態に陥りやすくなります。脱水は、母体だけでなく、胎児にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、妊娠中は使用できる薬剤に制限があるため、自己判断で市販薬を服用するのは避けるべきです。必ず医師に相談し、妊娠中でも安全に使用できる薬を処方してもらいましょう。そして、アデノウイルスは感染力が非常に強いため、家庭内や周囲への感染拡大を防ぐための対策も重要です。手洗いの徹底、マスクの着用、タオルの共用を避けるなどの基本的な感染予防策を心がけましょう。